亡くなった母は、毎年梅干しを漬ける人でした。
子どもの頃の夏休みには、赤しそのあく抜きや塩もみを手伝った記憶があります。あの頃は、母の作る塩分20%ほどのしっかり塩辛い梅干しが少し苦手でした。
それでも、実家の台所にはいつも梅干しがあり、体調が悪いときに食べるお粥や、熱いお茶にくずした梅干しは、私にとって当たり前の風景でした。
母が亡くなってからしばらくは梅干しを見るたびに寂しい気持ちになりましたが、50代に入ってから、自分の好みに合う梅干しを自分で作ってみたいと思うようになりました。
2025年は、完熟南高梅を使って、減塩6%と15%の2種類の梅干しを仕込みました。傷みのある梅は梅味噌に回し、無理なく続けられるようジップ袋や塩もみ赤しそも取り入れています。
この記事では、2025年の梅干し作りの記録を、写真とともにまとめます。
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晴天が続く日に3日間干す土用干しは、毎年の楽しみです。
母の梅干しと、私が梅干しを作る理由
母は毎年、完熟梅、塩、赤しその三つだけで梅干しを作っていました。中学生の頃の夏休みの始まりには、大量の赤しそのあく抜きや塩もみを手伝ったことがあります。あの作業は本当に重労働で、手は赤しその灰汁で爪の中まで染まり、少し黒っぽくなるほどでした。それでも、手に残る赤しその香りは、今では夏休みの思い出のひとつです。
実家の台所には、買ったものではない、年季の入った大きな茶色いカメがありました。そこにはいつも梅干しがあり、減っては足され、私が手伝う時もそうでない時も、梅干しのある暮らしが当たり前でした。
母が亡くなった2009年の夏、私は帰省して一緒に梅干し作りを手伝いました。けれど、その年の冬に母は急逝しました。あの年に一緒に漬けた梅干しが、母と作った最後の梅干しになりました。
しばらくは梅干しを見るたび悲しい気持ちになりましたが、10年ほど経ち、私も50代に入って、自分の好みの梅干しを作ってみたいと思うようになりました。母の梅干しをそのまま真似るのではなく、今の自分の暮らしに合った作り方で、続けられる梅干し作りをしたいと思っています。
2025年に使った材料と道具
2025年の梅干し作りで使った材料は、完熟南高梅、海の精の塩、無精製の粗精糖、ホワイトリカー、塩もみ赤しそです。道具は、ジップ袋、ガラス瓶、竹ざるなど、無理なく続けられるものを使っています。
私にとって梅干しは、ただの保存食ではありません。風邪の引き始めにお粥と一緒に食べたり、熱いほうじ茶にくずして飲んだり、釜揚げうどんの出汁に加えたりと、薬のような存在でもあります。だからこそ、材料はできるだけ納得できるものを選びたいと思っています。

2025年の梅干し作りで使った材料。塩、粗精糖、ホワイトリカー、塩もみ赤しそを用意しました。
完熟南高梅の下ごしらえと、傷んだ梅の選別
完熟南高梅は、あく抜き不要です。水でやさしく洗って汚れを落とし、なり口のヘタを楊枝で取っていきます。完熟梅はやわらかいので、無理に扱うと傷みやすく、手早くやさしく作業するのが大切です。
2025年6月は、追熟中に気温が急に高くなり、梅にカビが出たり傷みが進んだりしました。傷みのあるものは思い切って分け、砂糖とりんご酢で漬けたり、梅味噌に回したりして活用しました。全部を梅干しにしようとせず、状態に応じて使い分けるのも、無理なく続けるコツだと思っています。

2025年に仕込んだ完熟南高梅。夏の高温の影響で追熟が進みやすく、傷みの見極めが大切でした。

楊枝を使って、ひとつずつ梅のヘタを取っていきます。

傷んだ梅は捨てずに梅味噌など別の保存食に回しました。
2025年は減塩6%と15%の2種類を仕込んだ
テレビでジップ袋で漬ける梅干しの作り方を見たのがきっかけで、私は塩分8%から梅干し作りを始めました。塩と同量の砂糖を加えると保存性が上がると知り、最初は1kgから試し、少しずつ量を増やしてきました。
2025年は、冷蔵庫に2024年の減塩梅干しの在庫があり、スペースにも限りがあったため、減塩6%梅干しを4kg、塩分15%梅干しを3kg仕込むことにしました。さらに、近所のスーパーで安売りされていた完熟梅も救済したくなり、こちらは10%塩分で漬けています。
減塩6%はジップ袋を使って野菜室で保存し、15%はガラス瓶で常温保存にしました。同じ梅でも、塩分や保存方法で扱い方が変わるので、毎年試行錯誤しています。

減塩6%梅干しはジップ袋で仕込みました。

塩分15%の梅干しはガラス瓶で常温保存しています。
梅酢が上がったら赤しそを加える
梅を漬けてから3週間ほどすると、少しずつ梅酢が上がってきます。そこへ塩もみ赤しそを加えると、梅の色がだんだんと深く変わっていきます。
子どもの頃、母と一緒に大量の赤しそを塩もみした記憶があるので、今は市販の塩もみ赤しそを使っています。使えるものは使う。簡単にできる方法や便利なアイテムは取り入れる。それが、今の私の梅干し作りです。
昔ながらの梅干しへの敬意は持ちながらも、自分が続けやすい方法に整えていくことが、家庭の保存食づくりには大事だと思っています。

梅酢が上がったら塩もみ赤しそを加えます。

赤しそを加えると、梅が少しずつきれいに色づいてきます。
土用干しは、暑い夏の中の楽しみ
暑い夏は苦手ですが、梅干しの土用干しは毎年楽しみにしています。晴天が続く日を見計らい、竹ざるに梅を広げて3日3晩干します。夜もそのまま外に出し、夜露に当てるのが私のやり方です。
自宅前に土用干しをしていると、通りがかりの方が足を止めて、「今年も梅干しですね」と声をかけてくださることがあります。そこから梅干し談義が始まることもあり、そんな時間もまた夏の風物詩です。
7月の晴天を待ち、「きょうだ」と決めた朝は少し早起きして準備を始めます。竹ざるに並んだ梅の表情を見ながら、夏の始まりを感じる時間です。

晴天の続く日に、竹ざるに広げて3日間干します。土用干しのときは、通気のよい竹ざるがあると作業しやすく感じます。
6%・10%・15%、それぞれの梅干しを比べてみる
手作り梅干しを始めて5年目ですが、まだ「これが正解」と思えるところまではたどり着いていません。毎年少しずつ塩分や保存方法を変えながら、自分の暮らしに合う味を探しています。
減塩6%は食べやすい反面、冷蔵保存が必要で、扱いに少し気を使います。15%は保存性が高く、昔ながらの安心感があります。10%はその中間のような感覚です。
どの塩分が一番良いというよりも、どんなふうに食べたいか、どう保存したいかで選び方が変わるのだと思います。

6%、10%、15%と、塩分を変えながら試行錯誤しています。
完成した梅干しの保存方法と、梅酢の使い道
梅干しは、干したままドライな状態で保存してもよいですし、梅酢に戻してしっとりした状態で保存してもよいと思っています。厳密な決まりよりも、好みや使い道に合わせて調整できるのが、家庭で作る梅干しのよさです。
私は白梅酢が多いときは取り分けて、風邪気味のときのうがいや、お湯に少し加えて飲む用に使います。赤梅酢は、夏の炊飯時に大さじ1ほど加えると傷みにくくなり、おにぎりの手水にしても便利です。酢の物に少し足すと、うま味が増します。
冬頃まで保存すると、味が少しまろやかになります。作った直後の味と、少し時間が経った後の味わいの違いも、手作りの楽しみです。

しっとり保存した梅干しは、冬になると味がまろやかになります。
梅干しを調味料代わりに使う楽しみ
梅干しはそのまま食べるだけでなく、調味料のように使うことも多いです。身が崩れた梅干しは、むしろ料理に使いやすくなります。
豚の生姜焼きに加えるとさっぱりした酸味が入り、ごぼうとにんじんのきんぴらに少し加えると味に奥行きが出ます。卵焼きに入れるとお弁当のおかずのアクセントになりますし、ポテトサラダに少し加えるのも好きです。
青魚の臭み消しとしても使えますし、山芋の拍子切りに梅肉とめんつゆを合わせる食べ方も気に入っています。いなり寿司のご飯に梅干し、みょうが、ごまを足すのもおすすめです。
こんなふうに、梅干しは保存食でありながら、毎日の料理の味を少し豊かにしてくれる存在です。
母を思いながら、今年も梅干しを作る
友人の中には、私の梅干しを楽しみにしてくれる人もいます。同じように梅干しを作る友達と、「今年はどこの梅を買った?」「土用干しはいつする?」と連絡を取り合うのも励みになっています。
母が亡くなってから、母と一緒に作った梅干しはもうありません。それでも私は、毎年梅干しを作るたびに、母のことを思い出します。小さな頃から梅干し作りを手伝わせてくれたこと、その時間を一緒に過ごしたことに、今は感謝の気持ちがあります。
母よ、あなたと一緒に作った梅干しはもう無いけれど、私はあなたのことを思って梅干しを作っています。小さなころから、梅干し作りの経験をさせてくれてありがとう。そんな気持ちで、今年も梅を漬けました。
まとめ
2025年の梅干し作りでは、完熟南高梅を使って、減塩6%と15%の2種類を仕込みました。傷んだ梅は梅味噌に回し、赤しそや土用干しを経て、今年も我が家の保存食ができあがりました。
手作り梅干しは毎年同じようにはいかず、試行錯誤の連続です。それでも、季節の移り変わりを感じながら、自分や家族のための保存食を作る時間は、私にとって大切なものになっています。
これから梅干しを作ってみたい方の参考になればうれしいです。

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